10月号 『散歩を嗜む』 路地トリップと喫茶道端
適材適所
可能性にチャレンジする事も楽しいけれど、先ずは仔猿の意匠を生かすような楽しみ方をしたいと思っていた。
取り合えず走る様には組み上がった仔猿。
少し足を延ばしたい気持ちを抑えて、路地散歩に出掛けようと思った。
時間を選ぶ
住宅街の路地は、時として幹線道路よりも厄介。
車の抜け道に利用されている場合があるから。
日曜日の朝 6時。
路地にはまだ、早朝散歩を日課にしているおじいちゃんしかいない。
仔猿ならそんな穏やかな空気に溶け込める。
見える景色は一緒ではない
程ほどの道幅のある路地をつなぎ合わせて、だいたいのルートは決めていたのだけれど。
ふと、ひときわ狭い路地が目に入り、ウィンカーのスイッチをそちらに入れた。
それは、意識ではなくて感性がそうさせたのだと思う。
仔猿ならその先が袋小路でも問題ない。
ほどなく進むとなんとも懐かしい雰囲気。
すぐ先の交差点は時々通るのだけれど、こちらへは来たことがない。
いや、ある。
嫁さんの車で通った。地元民の嫁さんはこんな裏路地をカッ飛んで走るものだから、助手席に座っていても生きた心地がしない。三途の川が見えるのだ(笑
そんなことだから、このお米屋さんの前を通っても目に入らなかったのだろう。
なんとも、不思議だ。同じ景色を見ているはずなのに見えているものが違うのだから。
缶コーヒーとチョコレート
ほんの少しだけ幹線道路に出て、眺めのいい陸橋の上にZ31Aを止めた。
グローブとヘルメットを脱いで、大きく一呼吸。
日曜の午前6時。町はまだ動き出していない。
缶コーヒーで一息ついて、チョコレートをひとかけら口に放り込むと、早朝の道端は ささやかな喫茶になった。
※路地と表記していますが、今回走った道は広義では生活道路と表記するのが正しいかもしれません。