2月号 小春日和を嗜む
すっかり冬眠している仔猿と私だけれど、数日前からそろそろ起きようか?と思ったりしていた。
近くにダム湖の脇を抜ける道がある。
ルートの起点にする公園もあり駐車場もあり好都合だ。
仔猿で自走してもいいけれど、交通量の多い大きな橋が迂回できないので車に積んで行くことにした。
公園の駐車場の隅の方に車を停める。
仔猿を降ろしてガソリンを入れた。
気温を計ると10℃弱。
4ヶ月ぶりだけど、エンジンは数回の点火で回りだした。
身支度をする間だ5分ほど暖機をして走り出す。
今回のルートはダム湖周辺を含む小高い山になる。
片道4キロ程のとても短いルート。
駐車場から右に出ればルートに乗るけれど、いきなり登り坂(笑
なので、ここは一旦左に折れて平坦な道から助走をつけよう。
エンジンも暖めたいし。
軽く平坦な道を走って、いざ!
後続車が無いタイミングを見計らって登坂アタックだ。
驚いた。
減速しつつも、エンジンがノッキングしたりしそうな感じが全くない。
間違い無くトルクがついてきている。
粘り強い。
エンジンもそうだけれど、スプロケットの前後の組み合わせが絶妙なのだとも思う。
この解を導き出した先輩ユーザー、設計者の佐々木さんには頭が下がる思い。
正直無理だと思っていたけれど、あっさりと登りきった。
ダム湖を右手に眺めつつしばらく走ると、長い下り坂。
降りきった所で油温を測定。
70度。
オーバークールになると思っていたのに、いいあんばい。
全く不思議な、いや、懐の広いエンジン。
往復して8キロ程の走行だったけれど、自分にはちょうどいい距離。
ただ残念なのは、ウインカーのレンズを一つ紛失してしまったことくらい(笑
やっぱりテープで留めないとダメらしい…。
10月号 あとがき
転勤で引っ越してきた頃にお世話になっていたダーツカフェ。
オーナーには大変良くしていただいた。
結婚してから夜に出歩く訳にもいかず、ご無沙汰になっていたのですが…。
ガンを患っており、治療に専念するためオーナーを降りるとのこと。
昨日、仔猿ミーティングに使う予定だった有給を使って顔を出してきました。
久々のダーツは負けてしまったけれど、大切な時間を過ごしてきました。
10月号 『意匠を楽しむ』
その昔、大橋巨泉さんのコマーシャルと共に大ヒットした万年筆。
パイロット エリート。
リアルタイムで私はこの世に生まれていたか、いないかの頃。
その万年筆はサラリーマンのワイシャツの胸ポケットに差す事を前提に設計されてる。
底の浅いポケットに収まる短い全長。
それでいて、筆記時にはキャップをペン尻に差すことによって十分な全長に早変わり。
この意匠は不思議と海外の万年筆にはなかった。
あの頃の日本独自のものだ。
全盛期は日本の万年筆各メーカーからこのデザインの万年筆が発売され、サラリーマンと共に日本の経済を支えたそうだ。
万年筆が趣味の文具となった今、この意匠は廃れてしまったけれど。
目的のために突き詰められたその日本独自の意匠に、私は憧れの様なものを感じます。
とことんミニチュアサイズを突き詰められた仔猿。
そして、真面目に作られたそれぞれの部品。
小さいからこの程度でいいだろうではない。
もっと良くなるはずだ を地で行っていることが伝わる人には伝わるはずだ。
50年。
仔猿は50年後も保存されていることを目標に作られているそうだ。
私のパイロット エリートはそろそろその50年に達するだろう。
幾人の手を渡り歩いてきたかは知らないけれど、調整師の手を経えて手にしたエリートは掠れることなくインクを紙へ映す。
50年後、私亡き後にこのZ31Aを手にした方がメンテをしている最中に気が付くだろうか?
見えないところに奢られたチタンボルト。
質のいいメッキを施されたシャフト。
リヤ周りの巧みなフレイムワーク、
とことん軽量化されたハブ、その意匠になにを想うのだろうか?
※パイロット社のElite万年筆は数年前に復刻されて現在でも新品が購入可能です。
携行用の万年筆にしては贅沢な大型の金ニブを装備したあのままの姿です。
10月号 『散歩を嗜む』 路地トリップと喫茶道端
適材適所
可能性にチャレンジする事も楽しいけれど、先ずは仔猿の意匠を生かすような楽しみ方をしたいと思っていた。
取り合えず走る様には組み上がった仔猿。
少し足を延ばしたい気持ちを抑えて、路地散歩に出掛けようと思った。
時間を選ぶ
住宅街の路地は、時として幹線道路よりも厄介。
車の抜け道に利用されている場合があるから。
日曜日の朝 6時。
路地にはまだ、早朝散歩を日課にしているおじいちゃんしかいない。
仔猿ならそんな穏やかな空気に溶け込める。
見える景色は一緒ではない
程ほどの道幅のある路地をつなぎ合わせて、だいたいのルートは決めていたのだけれど。
ふと、ひときわ狭い路地が目に入り、ウィンカーのスイッチをそちらに入れた。
それは、意識ではなくて感性がそうさせたのだと思う。
仔猿ならその先が袋小路でも問題ない。
ほどなく進むとなんとも懐かしい雰囲気。
すぐ先の交差点は時々通るのだけれど、こちらへは来たことがない。
いや、ある。
嫁さんの車で通った。地元民の嫁さんはこんな裏路地をカッ飛んで走るものだから、助手席に座っていても生きた心地がしない。三途の川が見えるのだ(笑
そんなことだから、このお米屋さんの前を通っても目に入らなかったのだろう。
なんとも、不思議だ。同じ景色を見ているはずなのに見えているものが違うのだから。
缶コーヒーとチョコレート
ほんの少しだけ幹線道路に出て、眺めのいい陸橋の上にZ31Aを止めた。
グローブとヘルメットを脱いで、大きく一呼吸。
日曜の午前6時。町はまだ動き出していない。
缶コーヒーで一息ついて、チョコレートをひとかけら口に放り込むと、早朝の道端は ささやかな喫茶になった。
※路地と表記していますが、今回走った道は広義では生活道路と表記するのが正しいかもしれません。
10月号 仔猿届く
購入に向けての最大の難関
妻帯者が趣味のものを購入する場合、嫁さんに相談が必要になるのはいったいどの程度の物からだろうか?
大きさにしろ価格にしろ・・・まぁ、黙って買うわけにはいかないと。
幾度かの家族サービスと誕生日となんやかんやで、なし崩しに仔猿を買うことを告げて・・・押し切った(笑
オートバイ部品
宅配便の用紙には確かそのような感じで書かれていた。
『部品』なのである。
やはり、部品だった
ズッシリ重いそれを部屋まで運んで、いよいよ開梱。
タイヤがあまりにもぺったんこで…元の形になるのか少々不安(笑
(空気を入れれば問題なく膨らみます)
あまり長い間この状態たと場所をとって嫁さんへの体裁も悪いので、2日半で組み上げるタイムチャート表を作成済み。
一旦カタチにしてそれからじっくり調整をする作戦。
お楽しみの始まりです。
LIVE版 計画的な無茶をしよう
平日が休日になったりする仕事なので、そんな日の夕方は子供を保育園に迎えに行ったりするのだけれど。
今日はばあちゃん家にお泊まりするらしい。
よって完全にフリーになった。
例えば仔猿で少し遠出してトラブルで自走できなくなったとしても、夕方までには何としても帰らなければならない制約が無い。
自走できなくて途方に暮れてみたり、ローカルなバスを乗り継いで帰ってみたり…ワクワクするじゃないか(笑
目的地は土日休みの日に子供と行くことのある、少し遠いい公園。
嫁さんが午前中に家事をする間 子供を連れ出すためのドライブコースもかねている。
少しの工具をバックに詰めて出発だ。
地方都市は仔猿にとって住みやすいかもしれない。
ライコランドや南海部品はあるし、ホームセンターもしかり。
それでいて少し郊外に行けば、河沿いには田畑が広がる。
田んぼは稲刈り、あぜ道には彼岸花が咲いている。
写真を撮りたいけれど、トコトコ走るのが心地よくて停まるのがもったいない気がする。
20キロ走って目的地到着。
平均時速20キロ。
油温約75℃。
データを記録して一息ついていたら、散歩中のおばちゃんに話しかけられた。
『感じのいいバイクね』
これ以上の褒め言葉を、私は知らない。